イジメ期の対策
イジメをする人達はキミが憎くてやっているわけでは無い。
人としてあり得ないと思うけど、「楽しいから」「暇つぶし」という本当にふざけた理由でイジメていることが多い。
それもそのはず。
最初は「いじり」から始まって、仲間だけの楽しいおふざけだったものが、
いつしかキミだけをターゲットにした「イジメ」に変わって、
もっとみんなでイジメたほうが楽しいからって理由で、クラス全体でイジメるようになっていく。
イジメ初期とは違って、イジメ期に入ると、イジメる側も感覚がマヒしてくる。
アイツなら殴っても大丈夫。面白いし。
アイツならお金を取っても大丈夫。面白いし。
アイツならゲームソフトを盗っても大丈夫。面白いし。
アイツならLINEで「死ね」って言っても大丈夫。面白いし。
絶対におかしい。異常な状況だ。
でも、キミもそれが「嫌だけど当たり前」だと思い始めたら、もう危険信号だ!
俺がハッキリ言ってやる。
本格的に始まった「イジメ」は、全て「犯罪」なんだ。
犯罪が起こっているのに「子ども同士のことだから」「まだ未成年がやったことだから」は通用しない。
一刻も早く、キミを犯罪被害から救ってあげなければいけないんだ。
・「イジメは犯罪だ」と知ろう
学校の中だから、子どもがやったことだから、と言う「おかしすぎる」言い訳のせいでなかなか表には出ないけど、
イジメ行為は犯罪なんだ。
今からそれぞれのイジメ行為がどんな犯罪に当たるかを説明する。
まずは自分が受けた行為がどういう犯罪行為なのか知ろう。
以下の表は今までに俺が相談を受けたケースと文部科学省が「犯罪」と認定するケースをまとめたものだ。
まだまだ「未成年」「学校内で解決」という観点から、なかなか司法の裁きハードルが高い。
それでも弁護士に相談する場合、犯罪要件を満たせば「告訴」と言う形で刑事裁判の手続きに入るし、
被害を個人的に訴える民事裁判を起こすことも可能だ。
日本は「法治国家」と言って、国民一人一人が法律に守られている国なんだ。
キミが受けた犯罪行為は決して許されるものじゃない。
犯罪行為を行った者には、罪を償うために刑罰が科せられるのが「当たり前」なんだ。
イジメ行為の例 | 該当する犯罪 |
同級生の腹を繰り返し殴ったり蹴ったりする。 プロレスと称して同級生を押さえつけたり投げたりする。 ヒーローごっこと称して殴る蹴るを繰り返す。 |
暴行罪(刑法208条) |
暴行(ごっこ遊び含む)の結果、骨折等の怪我を負わせる。 |
傷害罪(刑法204条) |
「嫌だ」と言っているのに、虫やゴミなどの汚物を口に入れさせる。 断ったら危害を加えると脅して、コンビニで商品を盗ませる。 |
強要罪(刑法223条) |
断れば危害を加えると脅して、性器を触る、露出させる。 | 強制わいせつ罪(刑法176条) |
断れば危害を加えると脅して、現金や所有物を奪う。 |
恐喝罪(刑法249条) |
「学校に来たら殺す」など脅すメールを送る。 「○○に来ないとみんなに恥ずかしい写真を見せる」など脅す。 |
脅迫罪(刑法222条) |
教科書やノート、ゲームソフト、スマートフォン等、所持品を盗む。 | 窃盗罪(刑法235条) |
自転車、バッグ、部活の用具など所持品を故意に壊す。 | 器物損壊罪(刑法261条) |
校内や掲示板など、公共の場で「○○はキモい」と書く。 SNS、LINE、その他インターネットなどを通じて悪口を書く。 |
名誉毀損罪(刑法230条) 侮辱罪(刑法231条) |
LINEやその他のインターネットを通じて、他人の裸や性器などを公開する。 | 児童ポルノ提供(児ポ法7条) |
・決定的な証拠を残そう
この段階のイジメ行為がある場合、必ず「証拠」があるはずだ。
キミが犯罪に立ち向かうには、その犯罪があったという「証拠」が唯一の武器になる。
イジメという犯罪行為を完全に誰の目にも触れずに行う事なんて誰にも出来ない。
証拠になるような事例を紹介しよう。
証拠の例
・殴られている現場を目撃した人の証言
・「死ね」「うざい」「キモい」などを書かれたメール、LINEのスクリーンショット等
・無理矢理ATMからお金を引き出された時の日時、場所(監視カメラによる追跡が可能)
・「イジメがあった」と認識しているクラスメイトの証言
・呼び出しや脅迫のメール、電話の通話記録、録音
・イジメがあった場所付近の監視カメラの映像
どんなものが証拠になるか、多分キミもイジメ加害者も全てを把握なんてしきれないはず。
でも、キミがちゃんと「○月×日△△で誰に何をされた」と言う記録を残しておけば、そこから証拠にたどり着くことが出来るんだ。今の社会はそこまで進歩している。
キミがはっきりと「イジメ被害を受けている」と言う自覚があるならば、必ず記録をつけよう。
そして、1つでも多く証拠を残そう。
・相談先は「弁護士」
この段階まで来たキミは恐らく色んな所に相談したはずだ。
もし相談していないとしても、明らかにクラスの中でイジメが「ある」のに、
キミを助けてくれる人はいなかったということになる。
イジメが大きくなってくると、先生では手に負えなくなる。
先生もイジメられてしまう時代だ。
「イジメはよくないのでやめましょう!」
と言ったところで、何も変わらないのはキミが一番知ってるよね。
だから、この段階まで来たら、迷わず弁護士に相談しよう。
弁護士はお金を取って、「仕事」としてキミを助けてくれる。
キミを苦しめてきた「異常な世界」を、法律の目で見てくれる。
「正しい世界」の目で見てくれる。
ここで弁護士の利用方法を説明するよ。
1.弁護士の探し方
○検索で「いじめ 弁護士」「いじめ相談 弁護士 キミの市区町村」などで検索。HPを見て連絡する。
○「子どもの人権相談窓口」という日弁連が行っている無料の相談サービスを利用する。
○法テラス(日本司法支援センター)に相談する。※メール、電話で相談可能
- 電話番号 0570-078374
- http://www.houterasu.or.jp/
ここでまずは相談内容を聞いてもらい、その後どこへ相談したらいいか、費用をどうしたらいいか、教えてもらうことが出来るんだ。(無料)
2.弁護士は何をしてくれる?
○法的手段のアドバイス
- 相手に対して法的に何ができるのかを教えてくれる。今まで取られた物、お金の損害賠償や、暴行・傷害による治療費請求、慰謝料など法律を使ってできることを教えてくれるよ。
○キミの代わりに相手と交渉
- 弁護士はキミの「代理人」として、相手と交渉してくれる。今までキミが怖くて言えなかったことを、証拠を武器に堂々と言ってくれる。俺が経験したケースの場合、これが本当に効果が大きい。相手はキミやキミの親が何を言っても聞かなかったのに、弁護士から「正式な文書」で通告されると本気で取り組んでくれる。弁護士相手に適当な言い逃れはできない。だから弁護士に交渉を頼むというメリットは大きいんだ。
○訴訟を起こす
- キミが望む場合、裁判を起こすことが出来る。(望まなければ裁判にはならない)
- 裁判には2種類ある。警察に被害届を出して、相手に刑罰を与える刑事裁判と、キミが受けた損害を相手に賠償させる民事裁判だ。どっちか、または両方できるかどうか、勝てるかどうかを弁護士に判断してもらうんだ。
3.費用はどれくらいかかる?
○相談料は無料〜1時間1万円
- 弁護士は高い、って言うイメージがある。確かに普通に相談しただけで1時間5千円〜1万円は高いかもしれない。でも、逆に考えれば「それだけのお金で、仕事としてちゃんと対処してくれる」って事だ。だから本当に「お金には代えられない」状況が起こっている時は迷わず相談しよう。
- 「法テラス」や「子どもの人権相談窓口」など無料の相談サービスを受けることも出来る。まずは無料で相談した上で、弁護士に頼むかどうかを考えることもできる。
○見積もりを出してもらってから頼むかどうかを決める
- 相談の後、相手と交渉してもらったり、裁判を起こしたり、どういう方向に行くかで費用は変わってくる。相手から賠償金を勝ち取った場合、そのうちの何%が弁護士費用になるということもある。そういう細かいお金の計算をしてもらってから、弁護士に頼むかどうかを決められる。
- 弁護士の料金って実は「事務所によって違う」んだ。俺が経験したケースでも、相手との交渉でイジメを無くすまでに十万円〜数十万円と金額の幅は大きかった。だから、相談した先の料金が絶対ではない。いくつかの弁護士事務所のHPや相談などを行って、信頼できる弁護士を探そう。知り合いが利用したなどの紹介があると探しやすい。
4.相談したことが外にもれる心配は?
○弁護士には「守秘義務」がある
- 弁護士や医師などの職に就いている人は、依頼者の情報をもらすと刑罰の対象になってしまうんだ(刑法134条)。これを「守秘義務」と言うよ。だからキミが相談したことは絶対に外にはもれないから、安心して相談しよう。
キミが今までされて来た記録、日記、証拠、これらを武器にイジメ加害者に対して法律というルールに則って闘うんだ。ちゃんと証拠があって、それが犯罪行為に当たると認められば、加害者には正当な罰が与えられる。
・キミが受けているのは「イジメ」じゃない。「犯罪」なんだ。
イジメじゃなく「いじり」だった頃は、お互い悪意もなくやっていたことが、
イジメになると確実に「悪意を持って」行うようになる。
イジメって何だろう?
「イジメくらい子ども達で、、、」「イジメられる方にも理由が、、、」
って言うけど、その時のイジメって何?
数十人に暴行されててもイジメ?
何万円もお金を取られてもイジメ?
嫌がらせを受けて学校へ行けなくなってもイジメ?
「死ね」って言われるのはイジメ?
毎日何人もにビンタされてもイジメ?
裸にされて、動画を撮られて、公開までされてもイジメ?
俺がはっきり言ってやる!
それはイジメじゃない。犯罪行為なんだ。
大人だってそんな状況に巻き込まれたら、真っ先に警察に通報するよ。
犯罪に巻き込まれて「被害者にも理由がある」なんて言われないだろ?
そもそも理由があれば犯罪を犯してもいいのか?
それなのに「イジメ」と言う言葉に置き換えられた犯罪は、みんなが見て見ぬふりをしてしまうんだ。
まずは認識を変えよう。キミが受けた行為はイジメじゃない。犯罪だ。
だから「イジメ」に対抗する手段を探すんじゃ無く、「犯罪」に対抗する手段として考えることが問題解決の一番の方法だって俺は思う。