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自己喪失感

イジメの間、ずっと「お前なんかいらない」と言われ続けたことによって、
心もそう思い始めてしまう。

その結果起こるのが自己喪失感という状態だ。

自分は誰にも必要とされない。

生きている意味がない。

たとえイジメが終わって、誰にもそんな事言われなくなったとしても、その傷はなかなか消えない。


俺達がずっと行ってきた習慣を、いきなり変えろって言われてもなかなか難しいのと同じだ。


自分を必要としてほしい!

でもこんな自分なんか誰も必要じゃない!

この2つの想いで心が揺れる。それが自己喪失感なんだ。

・自己喪失感と自傷行為

人間は誰だって、必要な存在なんだ。

いらない人間なんて一人もいない。

それなのに、イジメという異常な世界で「お前はいらない」と無理矢理教え込まれた結果、

「本当に自分はいらないんじゃないか?」

と思い始めてしまう。





その結果、自分で自分を傷つけてしまう自傷行為を起こしてしまうことがある。
手首を切ってみたり(リストカット)、突然行方不明になってみたり、
自暴自棄(やけくそ)になってしまうことがあるんだ。


また、自己喪失感を持っていると、自分を傷つけて周りが心配するのを確認することでしか
「ああ自分は必要とされているんだ」
と思えなくなってしまう。
だから何度も何度も自傷行為を繰り返して、自分の必要性を「心配してくれるか」で確認していく。





自己喪失感を埋めてくれるのは、やっぱり時間をかけたカウンセリングになる。

カウンセラーや親、信頼できる友人などから


「今まで本当に辛い思いをしたね。その世界は間違っていたんだよ。私達はキミを必要としているんだ。」


そういうメッセージをもらい続ける事によって、少しずつ正常な心の状態に戻していくんだ。





まだ、人間と接するのが怖い場合は、動物と一緒に生活して「命と共に生きること」を理解していくペット療法(アニマルセラピー)や、花や植物を育てながら心のリハビリを行う園芸療法など、人以外の他者と生きていくことから始める治療法も出てきている。



ペットや植物にとって、自分という人間は「絶対に必要な人間」。
もしいなくなったら、ペットも植物も生きていられない。
キミは必要とされている人間なんだ。
そういう当たり前のことを、もう一度、心が理解できるようにリハビリしていく。

カウンセリングも同じ。
家族や友達が当たり前に思っている
「キミが必要なんだ」
と言うメッセージを、はっきり口に出して言う事で、
自分が必要とされていることを、改めて実感できるようにリハビリしていく。









俺もネットやブログを通して、ずっと言い続けている。


キミは必要な人間なんだ。


この世に生まれてきた人間は、誰だって一人じゃ生きていけない。

親に育ててもらって成長し、

先生に教えてもらって世の中を知って、

ご飯を作る人、家を作る人、洋服を作る人、、、

色んな人の力を借りて大人になっていく。


大人になったら、キミは仕事を持って働く。

今度はキミが、誰か他の人のために仕事をするんだ。
それは
美味しいケーキを焼く仕事かもしれない。
家やビルを作る仕事かもしれない。
お店でものを売る仕事かもしれない。
誰かの病気を治す仕事かもしれない。
誰かの悩みを聞く仕事かもしれない。
身体が不自由な人を支える仕事かもしれない。
みんなを笑わせて幸せな気持ちにする仕事かもしれない。



どんな仕事だって、必ず喜ぶ誰かがいる。


その人にとって、

キミは絶対になくてはならない存在なんだ。


必要ない人間なんていない。


絶対にいない。


俺だけじゃない。みんながそう思っている。
それが本当の世の中の考え方だ!









・自己喪失感との闘い

俺が今まで相談を受けてきた子ども達も、多くは自信をなくし、自分が必要かどうかを疑っていた。

俺が何度も何度も
「お前は必要な人間なんだよ。俺にとっても家族にとっても。」
って説明しても、心がそれを拒否してしまう。


だから俺は、実際に必要とされていることを実感させようと思ったんだ。

その子たちに「夢を見ていいんだ。」「頑張れば夢は叶うんだ!」っていう実感を。


俺は先生だ。勉強だったらいくらでも教えられる。

「ねぇ、卑弥呼って知ってる?占いとかまじないで国を動かしたんだぜ。それってすごくね?みんな本当に信じてたのかな?」

「√ってあるじゃん。アレが分かると正方形の一辺の長さがわかるって知ってた?81㎠の正方形だったら、√使えば一辺は9㎝って出せるんだよ。」

「雨ってどうやって降るか知ってる?実は海から水蒸気がめっちゃ蒸発して、雲ができてこっちまで来るんだよ。だから天気は西から来るんだ。」


そんな話をし始めた。
別にテストのためとか、受験の為じゃなく、何もしない時間を過ごすより、何か学ぶ時間の方が意味があるんじゃないかなって思ったから。

そうしたら、みんな少しずつ変わってきたんだ。


「先生!オレ、もっと勉強したいです。」
「先生!ワタシ、勉強してもいいですか?」


生徒が自分の口からそう言った。


そして俺は勉強を教えた。

勉強はやれば誰でもできるんだ。
先生がちゃんと教えてあげれば、誰だって。

俺の生徒達は「勉強ってこんなに面白いんだ!」ってどんどん教えたことを吸収していった。


小学校の勉強から、中学校の勉強、そして今学校でやってる範囲の勉強、さらに高校の予習。
時間はたくさんある。
面白い遊びを見つけたみたいに、生徒達は勉強しまくった。
分からないところをどんどん質問して、「なるほどね!」って知る喜びを感じて。

そしてある日俺は言ったんだ。

「学校のテストだけ、受けてみちゃおっか?」

「え?」

「多分、この範囲だったら普通に満点狙えると思うよ。テストだけ受けてすぐ帰って来なよ。俺が学校まで送ってくからさ。」

生徒達はどの子も最初は迷う。
でも、テストなら誰とも話さないし、俺のバイクに乗ってみたいし、
って行ってみようと決断したんだ。




当日、俺が乗っている1800ccの、めちゃくちゃでっかいバイクで学校の正門まで送る。

みんな

「誰?誰?」

って。
どっかの不良が来たのか?ってビビりながらこっちを見ている。


「先生、ありがとう。いってくるね。」


生徒達はそれぞれ一人で、闘いに向かっていった。







そしたら面白いことが起こったんだ。
4年間不登校でずっと俺と勉強した子が、中学校の中間テストだけ出席して5教科で学年3位を取る。

高校に入学してすぐに不登校になって1年間学校に行けなかった子が、突然現れた期末テストで90点を取る。

1科目だけの子もいた。
保健室で別室受験をした子もいた。

でも、どの子も「え?何でこんなにできるの?」って言う結果を出した。

そういう「奇跡」みたいなことを俺達は起こしたんだ。






その後、すぐに学校に行けるようになったわけではないけど、どの子にも「自信」が生まれた。
やればできるんだ。
頑張るって気持ちいいんだ。
頑張ってもいいんだ!
今まで閉じていた「未来」っていう感情が少しずつ芽生え始める。



彼らはその後「世界」を変えた。
それぞれの新しい進学先へ進んで、全く新しい世界で1から勝負していった。
そして今は立派に働いて、誰かに必要とされる人間になっている。


俺がしてきたのはそれくらい。
ちょっとだけ、キッカケを与えて、一緒に面白いことをやってみる。
ほんとただそれだけ。

自信を取り戻す、って簡単な事じゃないけど、
カウンセラー、先生、親、医師、、、
本気で救おうと思っている人達がいるってことを知っておいてほしい。
キミは一人じゃない。
本当なんだ。